時効(その4)

query_builder 2023/01/29
空き家土地相続
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今日は時効の援用と放棄について考えてみましょう!

時効が完成しても、自動的に時効の効果が生じるわけではありません。時効によって利益を受ける当事者が、時効利益を受ける旨の意思表示(時効の援用

をしてはじめて時効の効果が発生します。時効は、他人の物を取得できるなど、やや不道徳な面もあるので、本人の意思を尊重することにしたのです。

当事者が時効を援用しなければ、裁判所も時効による裁判をすることは出来ません。時効を援用できるのは、時効によって直接に利益を受けるものです。

例えば、他人の債務のために自分の不動産に抵当権を設定した場合、他人の債務の消滅時効について、その債務者だけでなく、自分の不動産に抵当権を設定した者も時効を援用することが出来ます。抵当権によって担保されている債務が消滅すれば、抵当権の負担も消滅するという利益を受けるからです。

時効の援用の効果として時効が援用されると、時効の効力は、その起算日にさかのぼって生じる。時効という制度は、これまで続いた事実状態をそのまま尊重するものです。したがって、時効の起算点(占有を開始した時点又は権利行使が可能になった時点)にまでさかのぼって、時効の効力を生じさせる必要があるのです。時効利益の放棄について時効の援用を当事者の意思に任せるならば、当事者が積極的に時効による利益を放棄することも認めてよいことになります。したがって、当事者がいったん時効を放棄すると、以後、時効の援用はできなくなります。明確に「時効利益を放棄する」と意思表示する場合のほか、債務の時効完成後に、借金を返済したり、債務の存在を承認したような場合も、時効の援用はできなくなります。これらは時効を援用するつもりがない行動と見えるからです。

ただし、以上の効果は、全て時効完成後の場合です。時効完成前にあらかじめ時効利益を放棄することは認められません。もしこれを認めると、ほとんどの債権において、事前に時効利益を放棄する契約がなされ、事実上、時効制度が無意味になってしまうからです。

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